『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』島沢優子

その道のトップになるためには、ただただ繰り返し練習するばかりではなく、知性も鍛えなければいけません。

日々の練習や試合で気がついたことをノートに書いていくことを、下記エントリーで述べました。

スポーツに必要な知性を選手たちはどうやって鍛えているのか、この本の著者は実際に選手やコーチたちを取材し、その結果として浮かび上がってきたのがノートの存在でした。

ノートを書く上で重要なことは、言語化し、自分の頭で考えることです。

目次

目次紹介

プロローグ 森保監督の白いメモ、オシムさんの言葉

第1章 世界を獲るノート

伊藤美誠(卓球)コーチと書いた79冊
朝比奈沙羅(柔道)前向きになれる「野望ノート」
早田ひな(卓球)脳内スピードを高めるノート
ガレス・ジョーンズ(ゴルフ)アスリートのインテリジェンスは自立だ
中竹竜二(ラグビー)「フレーミング」で進化する
力畑喜美夫(サッカー)主体性を育むボトムアップ
海野祐生(アスレティックトレーナー)未来をつくる「ケガノート」
松商学園高等学校(野球)最古の部活ノート(番外編)

第2章 指導者から見た「インテリジェンス」

柏井正樹(テニス)イメージを共有する力
前原正浩(卓球)何かを生み出すのは知性
池上正(サッカー)リスペクアザース
増地克之(柔道)成長し続ける力
荒井直樹(野球)100通のラブレター

第3章 脳とメンタル

荒木香織(スポーツ心理学)「書く」効能
篠原菊紀(脳科学)成功者の共通項

エピローグ ノートは主体性の萌芽

この本には卓球選手が2名、卓球指導者1名取り上げられています。

卓球は、故荻村伊智朗氏が「卓球は100m走をしながらチェスをするようなスポーツ」と言っていたように、運動神経だけでなく知性も必要とされるスポーツです。

他の競技選手のノートも紹介したいところですが、やはり卓球の3名のノート活用法をここでは紹介します。

伊藤美誠選手のノート

コーチと対等に…。

ノートの始まり

伊藤美誠選手専属の松崎コーチは動画を見るのが好きで、伊藤選手は中学1年から動画を一緒に見るようになったそうです。

そして、動画を見て気がついたことをお互いに言い合っていたのですが、書かないと忘れてしまうということで、左ページにコーチが、右ページに伊藤選手が書くようになったのが始まりです。

対策ノートと練習ノート

対策ノート

負けたときのほうが学ぶことは大きい

最初は、自分が負けた試合を見るきにはなれなかったそうですが、負けた試合から得られるものは大きなものです。

ノートに書くことを前提に、自分の試合や対戦相手の試合動画をハイライトではなく全て見ていくと、ポイントを考えながら見ていくことになるので、ただ眺めているだけとは得られない学びがあります。

練習ノート

反省・復習・予習が練習ノートのポイント。

試合練習の反省し、分析(復習)し、次の試合(予習)に生かすためにあるのが練習ノート。

言語化の重要性

自分が悩んでいること、考えていることを文字にして紙に書き出すと、頭の中身が整理されて冷静になれるという体験がある人は多いのではないでしょうか。

紙に書き出し、事象を感情と切り離して言語化することによって、自分を客観視することができるようになります。

コーチと選手、同じものを見ていても、見方が変われば違う発見もあります。

言語化することによって選手とコーチがお互いに対等な立場に立って言い合うことによって、双方の成長が望めることになるのです。

早田ひな選手のノート

引き出しを増やすために…。

究極の自問自答

早田選手は、まず黒のボールペンで悩みや疑問に思ったことをひたすら書きなぐっていきます。

練習、試合、技術、メンタル面、…、とにかく区別せずに、その日のことを書いていきます。

黒のボールペンで、悩みや疑問をすべて吐き出してスッキリさせます

赤のボールペンは、黒のボールペンに対する答えのようなものを書いていきます

すべての疑問や悩みが、答えを出せるわけではありませんが、書くことによって客観視解決しようとしていることは、伊藤選手と同じです。

記憶整理と定着

その日の練習や試合を振り返り、ノートに書いている時というものは、実際に卓球をしている時以上に脳の活動が活発になります。

書いているだけでイメージトレーニングにもなり、スキルアップのトレーニングともなっています。

書くという行為によって脳の中に整理されて残るので、試合中、ここぞという時にその引き出しが開き、卓球に重要な知性である「ひらめき」へとつながっていきます。

前原正浩氏のノート

前原氏は、国際卓球連盟副会長であり、日本卓球協会副会長を務めている方です。

日本代表選手として活躍した後は、3度(ソウル、アトランタ、シドニー)のオリンピックで代表監督を務められた方です。

卓球のインテリジェンスとは何か

自分で考え、何かを生み出す……、創造する、考えること。

コーチの言うことをハイハイと効くだけでは上達できませんから。自分の状態を明確にコーチに説明する、つまり言語化できる知性が必要です。

卓球選手のインテリジェンスは「ひらめき」。選手からひらめきを引き出すためには、指導者も語彙力がないといけないということです。

前原氏は、故荻村伊智朗氏から多くのことを学び、荻村氏の言葉をメモやレコーダーに記録し、音声は文字に起こして今も大切に保管しているそうです。

まとめ

ノートのとり方に決まりはなく、使い方も選手やコーチによって違います。

選手にとってのノートの役割は、その時に感じたことを言葉に表すことで、

  • 自分を客観的に見つめ直して課題を発見する道具
  • 解決策を考える道具
  • 対戦相手を知るための道具

などの機能があることが分かります。

また、指導者にとっては、

  • (文字の状態から)選手の精神状態を知る道具
  • 選手が考えていることを知る道具
  • 選手の成長を知る道具

など、主に選手とのコミュニケーション方法の一つとなっています。

「俺の言うことをやっていれば良いんだ」という昔ながらの指導法では、世界に通用する選手は育ちません。選手自ら自分の頭で考え、一瞬一瞬を判断して行動しなければなりません。

自分の頭で考えることを鍛えるために最も効果的なのが、感じたことや思っていることを言語化して外在化し、それを客観的に眺めて考えることです。

言語化の手段が、ノートに言葉を書きつけるということです。

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